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翌日も2人はライブハウスをのぞいたり、カラオケに行ったりと普通の女子高生のように遊んだ。
店で、ホテルで、SNSで自分の「好き」という感情を多くのリリカルな言葉で表現するライトに結花は惹かれていった。
「ライトちゃんって、「好き」を表現する言葉をたくさん持ってるよね。私、最近は「嫌い」を表現する言葉ばっかりが目についてたの」
公園のブランコに腰かけてレモネードを飲みながら結花が言う。
「ねえ、ライトちゃんいっぱい写真撮ってたでしょう?カメラの写真見せてもらってもいい?」
ライトは結花に写真を見せた。その場の楽しい空気感を切り取ったような写真が並んでいた。そして、順番に画面を切り替えていくと道中の写真に差し掛かる。
「東北の方って自然が綺麗なんだね。行ってみたいな」
結花が初めて、未来への希望を口にした。ライトは嬉しくなって、地元の写真を見せた。
「いつでも案内するよ!」
「本当?じゃあ、私、ここに行きたい。この夕日、とっても綺麗。たぶん、私が見てる世界とライトちゃんが見てる世界はきっとライトちゃんの方が鮮やかなんだろうけど、ライトちゃんはそれをちゃんと私に伝えてくれるから、私も綺麗な世界を一緒に見られる気がするの」
結花が指さしたのは、小町を撮った夕焼けの写真だった。ライトの感性と言葉は、悪意に満ちた言葉で傷ついた結花の心を癒していた。結花には息う希望が見えてきた。
「あたしね、小町を説得しようと思うんだ。地元で一緒に遊んだ小町は楽しそうだったし、復讐にとらわれた小町は本当の小町じゃないと思う」
「どうやって……?」
ライトは秘策を耳打ちした。
夕方、ライトは小町を置いてきた路地裏に結花とともにやってきた。
「小町、ちゃんと話そう」
「見習いイタコこそ話を聞け。この女は死にたがっている。私は殺したい。お前が邪魔をしているんだ」
「ごめんなさい猫又さん。やっぱり私もう少し生きたいです」
結花が頭を下げる。
「この間格好つけたと思ったら今度は命乞いか?本当に恥知らずで嘘つきな血筋だ」
「小町がお話しなきゃいけないのは、あたしでも結花ちゃんでもない」
ライトは数珠を持った手を合わせて目を閉じる。
「今からあたしが、高遠静月さんを口寄せする」
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