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「ン……ハァ……」
触れるだけだったキスは、息継ぎの度に角度を変えて段々とディープなものへと変化してゆく……
(私……初対面の、こんなイケメンとすっごいキスしてる……)
なんて、火照る顔と体とは裏腹に、徐々に冷めて冷静さを取り戻した思考で思っていた。
「ハァ、ハァ……」
唇が離れると、私の口は酸素を求めて荒い息遣いを繰り返す。
うっすら目を開けると、息遣いすら感じるほどの至近距離に守さんの顔……
守さんは、鈍色に濡れた唇を舌先でペロリと舐め上げると、私の額に自らの額をコツン、と合わせてきた。
何が起こったかなんて……もうどうでもよかった。
私の頭の中は目の前の守さんの事でいっぱいだった。
頬が赤く高揚し、守さんが触れている箇所が急激に熱を帯びてゆくのが分かる。
守さんの厚い胸板に置いた自分の手に、彼もドキドキしているのかと脈打つ彼の鼓動を感じていた。
「……ごめん。ガマン……できなかった」
そう小さく呟いて、少し眉根を下げた守さん。
申し訳なさそうな表情なのに、何故か彼からは妖艶なエロスを感じた。
「今夜は彩乃ちゃんを帰したくなくなっちゃった。もっと彩乃ちゃんの事が知りたくなった……ダメ?」
可愛げな言葉とは裏腹に、守さんの目は……目つきはオスの獣そのもので……
瞳の奥に妖艶な色気を光らせながら、守さんはそう云ってチュッとリップ音のキスを何度も私の唇に降り注ぐ。
(ここまで来て、こんなイケメンを前に「ダメです」なんて云える女性がいたらお目にかかりたいよ……)
なんて思いながら、私は逃れられない守さんの腕の中でゆっくりと返事をした。
「ダメ……じゃない、です……」
と。
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