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守さんの問いかけに、私は上手く返事が出来なかった。
甘い情事の後に襲って来た疑問だらけの現実……それは、私と守さんとの関係。
ハッキリさせたいのに、ハッキリさせるのが怖くて……
ハッキリさせた瞬間に、守さんは私から去って行ってしまうんじゃないかって……
でも、私は意を決して口を開く……
「守、さん……」
「ん?」
「守さんは……どう云うつもり、なんですか……?」
「彩乃、ちゃん……?」
先刻までの甘い時間がウソだったかのような私の神妙な雰囲気に、守さんも何か悟ったのか少し上体を起こした。
私は情事の後処理やまだナカにいる守さんの事もお構いなしに、ゆっくりと上体を起こして守さんを見つめ返す。
(ヤバイ……私、絶対泣きそうなカオしてる……)
「私と守さんの関係って……こんな関係……ッ!?」
涙が出そうなのを我慢しながら無理やり言葉を紡いでいると、私の言葉が最後まで云い終えない内に守さんに引き寄せられて唇を塞がれる。
まるで口内を犯すように守さんの舌が私の口内でうごめく。
「ン……ハ、ァ……」
「……好きになっちゃったから……それだけじゃダメ?」
唇を離した守さんが、切なそうな表情でそう云った。
どこか苦しげな彼の眼差しに、私は何も答える事が出来ず……代わりに守さんに抱きつき唇を合わせた。
(ダメじゃない……ダメじゃないけど……)
「好きになった」なんて……本気にして、いいの……?
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