Secret STYLE

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「ん~……コンサルティング……ってトコかなぁ?」 「?」 頬杖をついた守さんの曖昧な返答に、私は応対の言葉が出てこなかった。 曖昧に濁したのは、余り知られたくないのか……それともハッキリしない業種なのか…… どちらにせよ、私の質問は初対面の人に対して急すぎるものだったのかもしれない。 私は気まずくなって、グラスを指先で弄んでいた。 「彩乃ちゃんは?」 「え!? あ……私は製薬会社に勤めてて……」 「薬剤師さん?」 「あ、いえ。開発の方なんです」 「そうなんだ……?」 急に振られた質問に、私はバカ真面目に答えていた。 それは、自分の放った質問の気まずさに対する誠意の表れでもあった。 だけど、守さんの笑顔が少し曇ったような気がしたのは気のせいだろうか? だって、そう思ったのはすぐに守さんは眩しいほどの笑顔を見せてくれたから…… 「はい。私のチームが開発している新薬がもうすぐ完成しそうで……今日はそのお祝いなんです」 「そっか。だから楽しそうだったんだね?」 「はぁ、まぁ……」 「でも……」 瞬間、にこやかだった守さんの表情がスッと真剣なものに変わる。 真っ直ぐな眼差しは少し怖いとも思えるほどだった。 そしてグッと顔を近づけてきた守さんに、私は思わず背を仰け反らせた。 「油断は禁物だよ?」 「え?」 「ライバルが近くにいたら、その情報をキミからコッソリ奪いに来るかもしれない」 「ッ!?」 守さんはそう云って、スッと私の頬にその長い指先を滑らせた。 至近距離で見つめられて、こんなふうに頬に触れられて……私の心臓はバクバクと異常なくらい早打ちを始める。 「プッ! アハハ! ごめん、そんなにカワイイ顔しないで」 「……へ!?」 瞬間、守さんは小さく吹き出すとスッと体を離し、私から顔を逸らして片手で口許を覆い空いた片手を私の目の前に上げる。
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