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私は目が点になったまま、笑いを堪え切れてない守さんの横顔を凝視していた。
(大笑いしながら今の私の顔がカワイイ……? は? 何云ってンの!?)
私はからかわれたのかと思うと、自分の中で沸々と怒りが込み上げてくるのが分かった。
私の表情の変化に気付いたのか、守さんは笑いを少し静めて「ごめん、ごめん」と平謝りを繰り返してくる。
「ごめんね、彩乃ちゃん? 機嫌直して。ね?」
「冗談が過ぎます!」
「フフ。でもボクなら、情報じゃなくてキミ自身を奪っちゃいそうだけどな」
「ッ!?」
柔らかい笑顔のまま瞳は本気の色を浮かべて、守さんはそう云って私の髪の一束をスッとすくうと唇を寄せてキスをした。
再び私の心臓が跳ね上がったのは云うまでもない。
「も、もう! またそうやって……!」
「あれ? 警戒してる? ボクは結構本気だったんだけどなぁ?」
クスクス笑う守さんに、私は体中の熱が顔に集まってくるのが分かった。
(この人……本当に口が上手い……)
初対面からの僅かな時間で分かった守さんの一面だった……
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