Secret STYLE

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それから暫く、私は守さんのジョークに翻弄されながら心臓のアップダウンを繰り返していた。 このままじゃ、いくら心臓があっても足りない…… そして気付いた……と云うか気付かされた、守さんの半端ない人気っぷり。 先刻からチラホラいる女性客の大半……いや、全員が一度は守さんに視線を向けている。 そんな中にも、積極的な方はいるワケで…… 「ねぇ、向こうで私たちと飲みませんか?」 “いかにも”な大人の女性が、私とは反対側から守さんにモーションを掛けてくる。 もちろん、私と守さんは今日が初対面なワケで……守さんが望めば余裕でソッチに行けちゃうワケで…… でも彼は…… 「ごめんなさい。お誘いは嬉しいんですけど、今は彼女と飲んでるんで」 そう云ってやんわり断りを入れながら、カウンターに乗せていた私の手をギュッと握ってきた。 そして“他称”として使われた筈の『彼女』と云う言葉に、私は異常なほどの意識をしてしまった。 「そう……でも、こっちで飲んだ方が楽しめるかもですよ?」 妖艶な色気と流し目を使ってそう云った彼女は、守さんの肩に手を置いて一瞬チラリと私の方に視線を向けた。 ヘビに睨まれたカエル状態になりそうだったけど、一瞬、私の手を握る守さんの手にわずかに力が込められた気がした。 気のせい……? 「すみませんが、これ以上ボクたちの時間の邪魔をしないで頂けますか? ボクは彼女と話したいんです」 「ッ!?」 少し低くなった守さんの声と鋭い目つき。 守さんはそう云って、私の手を握っていない方の手で肩に乗せられた彼女の手をやんわりと払った。
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