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守さんの服の洗濯を終え乾燥機に入れている間、私はコーヒーを淹れていた。
すると不意にリビングのドアが開き、シャワーを終えた守さんが入って来た。
……けど! その姿に私は思わず手にしていたカップを落としそうになる。
「シャワー……ありがとう、彩乃ちゃん」
「ちょっ!? 守さん! 渡したバスローブはどうしたんですか!?」
「あ、コレ?」
爽やかに笑っている守さんだったけど、その姿は腰にバスタオル一枚巻いているだけだった。
彼は少し困ったように、手にしていたバスローブを目の高さまで持ち上げる。
「コレ、丈が短すぎてさ……ボクが着たら、ちょーミニスカートになっちゃうんだ。座ったら……見えちゃいそう」
「なっ!?」
“何が”とは聞けず、私はイタズラな笑みを浮かべる守さんを凝視していた。
かなりのアホ面をしているだろう私に、守さんはクスリと柔らかい笑みを浮かべる。
そして手近にあった椅子の背凭れにバスローブを掛けると、ゆっくりとした動作で私の傍に歩み寄って来る。
少し危険な色香を漂わせる守さんに、私は“ヤバイ”と思いつつもその場から動けなかった。
「シャワー浴びる前も云ったけど……もう、見慣れてるでしょ? それとも、忘れちゃった?」
「……ッ!?」
ゆっくりと伸ばされた守さんの片手が、私の頬をそっと包み込む。
そしてしばらく見つめあった私たち……ゆっくりと守さんの顔が近付いてくる。
キスされる!? と思った私は、思わず俯いて守さんの胸に両手を突っ張った。
「信じられない……何で、こんな事できるんですか……?」
「彩乃ちゃん……?」
「私……守さんの事を信用したわけじゃないです。ライズ社長と一緒に居たトコ……見たんですから!」
「……ゴメン。そうだね……ちゃんと全部話すよ」
少し口調を強めた私に、守さんは少し寂しそうな……傷ついた表情を見せる。
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