半妖姫と冥界の玉座

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「よくよく考えたら、総大将自ら挨拶回りなんておかしいわ。というわけで、呼び寄せておきましたから。うん、王って考えるから都にいた帝を思い出してムカつくけど、頼朝殿と同じ地位と考えれば、私にもやりようがあるって思ったのよ」 「は、はい」  ふむふむと頷く政子に、鈴音はそうですねと頷くしかない。清涼殿にて、ずらっと並んだ妖怪を前に鈴音はびっくりするしかないのだ。そして、あっさり呼び寄せてしまう右大臣にもびっくりするばかりである。 「なるほど。王になることが確定しているからな。あとはお得意の演説で呼び寄せたか」  補佐として入っている健星は、さすがだねえと苦笑い。ありゃりゃ、健星まで苦笑いしちゃっている。  そう、政子は鈴音たちが鬼討伐隊の議論をしている間に全国各地、現世に留まる妖怪たちに声を掛けていたのだ。そして、献上品を持って来やがれと言ったらしい。  そして現在、各都道府県を代表してやって来た妖怪たちが、それぞれの特産品を持って鈴音の前に平伏しているのだ。 「み、みんな、今日は集まってくれてありがとう」 「おおう、ちゃんと労ってくれているぞ」
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