半妖姫と冥界の玉座

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 健星の言葉に晴明が頷き、自分で変化することの便利さがまた一つ増えた気分だった。しかし、それは同時に自分は普通の人とは違うと、はっきり自覚することでもある。 「私って半分が狐なのねえ」 「でも、今はそう考えても不快感はないだろ?」  晴明の確認に、鈴音はもちろんと頷いた。紅葉のことも知っているし、何よりずっと傍にユキがいる。二人と同じ部分があるということに不快感があるわけがない。だから、不快感と聞かれても鈴音は首を傾げるしかなかった。 「それが精神の成長なんだけどな。まあ、無自覚にやってのけたんだったら問題ない」  不思議そうな顔の鈴音にやれやれと健星は溜め息を吐き、嫌悪が引き金で変化していたのになと、口の中だけで呟いた。出来るようになれば問題ないわけで、今更そんな指摘は無用だ。というわけで、はい次と床に資料を広げ始める。 「すでに討伐隊の編成は済んでいる。と同時に、向こうの鬼たちも全面対決が近いと準備に入っているな」 「ということは、冥界初めての本格的な戦が起こるってわけか」  健星の言葉に、なるほどと晴明は難しい顔になる。それに鈴音も 「戦になるの?」
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