半妖姫と冥界の玉座

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 今、清涼殿では月読命と鈴音だけでなく、健星、左大臣の天海、兵部省の平将門が集まり、戦についての最終確認中なのだ。ちなみに右大臣の政子は欠席だ。いわく、戦に関わるのはもうこりごりとのこと。 「今回はすでに対立状態が明らかであり、しかもこちらの言い分が正しい状況だ。ということで、戦とはいえ行政処分と変わらない。つまり、先に文書で通達が必要だな」  健星の言葉に、嫌なことを思い出したと平将門が顔を顰める。自分の言い分が通らずに反乱扱いされ、さらに討伐された過去があるだけに、今の言い方は嫌だったのだ。 「いいじゃないですか。今度は将門様が官軍です」 「だけどな。ううん、まあ、仕方ない」  戦である以上はどちらかの言い分は完全な悪として扱われるのだ。そこは割り切るしかないと将門は溜め息。 「というわけで、先に最後通告になる文書を作成します。これは、中務卿の菅原道真殿に任せましょう」 「そうだな。それがよろしい」  健星の言葉に左大臣の天海が頷き、文書はすぐに作成され、酒呑童子のいる屋敷に届けられることとなった。 「武装解除を待つ期間は一週間というところが妥当でしょうな」
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