半妖姫と冥界の玉座

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 その健星は現世で仕事をしてきた直後だからスーツ姿だ。しかし、この姿も鈴音の即位が終わると見納めなのだろうか。 「刑事、辞めちゃうのよね」 「まあな。とはいえ、あと五年は続けることになりそうだ」 「あっ、そうなんだ」 「出世が確定してな。今トンズラできなくなった。まったく、警察とはいえお役所だ。キャリア組にいるとそこが面倒だよな」 「ああ、そう」  ビックリな理由だった。鈴音はどこまで優秀なのよと呆れてしまう。しかし、それってもっと忙しくなるってことじゃないのか。 「な、何か手伝おうか」  というわけで、仕事しますと鈴音は健星の横に座る。 「当たり前だ。こっちから順番に印を押してくれ」 「はあい。あっ、ユキ、コーヒー入れて」 「ただいま」  印鑑を手に取りつつ、しっかり傍にいるユキにコーヒーを頼んじゃう鈴音に 「お前も凄いよ。王と望まれるだけのことはある」  健星は自分の凄さには気づかないんだなと呆れていた。  さて、戦は関係ないと会議に参加しなかった右大臣を務める北条政子だが、そこは鎌倉幕府を纏めた御仁。ただサボっているだけではなかった。
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