半妖姫と冥界の玉座

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「ちっこい姫さんだが、中身はしっかりしるのう」  鈴音の言葉に、そんな声が漏れ聞こえる。ううむ、何なんだろう。 「これ、総大将を前になんたる言葉を使う。控えよ!」  政子、完全に鈴音を鎌倉将軍に置き換えて考えている。これでいいのかと思って健星を見たら、健星は額を押えていた。うん、ちょっとダメっぽい。あの健星が政子に押されているというのも面白く珍しい図だ。 「ええっと、じゃあ、どこの妖怪から挨拶をすべきかな」  鈴音、この謁見の前に王だから敬語を使うなと注意されているので、難しいなと思いつつも政子に質問。 「左様でございますね。まずは近畿地方からかと。鵺を従え、この冥界を治めることが決定した御方。やはり京都のある地区からかと」 「おおっ、鵺を従えていると」 「しかも姫さんは九尾らしいぞ」 「ほほぅ」 「はいはい、静粛に」  すぐにざわつく妖怪たちに、切り替えの早い健星がパンパンと手を叩いて黙らせる。こいつ、本当に臨機応変だな。  というわけで、まずは近畿地方、それも京都は除くので大阪からとなった。 「土蜘蛛(つちぐも)と申す」
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