半妖姫と冥界の玉座

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 その大阪は、凄く強烈な妖怪だった。だってでっかい蜘蛛なのだ。しかも喋る。 「よ、よろしく」 「特産品と仰るので粉もんが良いかと思ったが、冷めてしまうと思い直し、デラウェアをお持ちした。最近、大阪では果物を作っておる」 「あ、ありがとう」  もぞもぞと八本の足を使ってデラウェアの入った箱を差し出してくる様は、怖さを通り越して滑稽だった。土蜘蛛は怖い妖怪らしいが、従うと温厚になるのだとか。  こうして次は兵庫県は姫路城(ひめじじょう)に住むという長壁(おさかべ)から明石産のタコを献上され、そこから続々と各地の妖怪が挨拶をしていく。当然、続々と各地の特産品も積み上がっていく。  近畿、中国、四国、九州、沖縄と西へと続き、そこから戻って中部、北陸、関東、東北と東へ。最後に北海道のコロポックルという(ふき)の下に住むという小人へと続いた。そのコロポックルは北海道といえばこれと、自分の身の丈より大きな鮭を献上してくれる。 「す、凄いことになったね」 「ああ。新王よ、ここは宴を催されては如何ですか」
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