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「いや。政子もここまで上手くいくとは思っていなかっただろうし、天海もそうだよ。それに、ここにいた誰もが、王が替わるという新しいことに挑み、どうなるか解らない不安の中にいたんだ。それを解きほぐしたのは鈴音の手柄だよ」
「えっ?」
急に自分に話題が戻って、鈴音はびっくりしてしまう。
「変わらなきゃいけないって思いながらも健星に頼りっぱなし。どうすればいいのか解らなかったのを、鈴音が一気に解決したんだよ。健星だって、実は自分が王になっても上手くいかないって解っていたから、すぐに鈴音を推す側に回ったんだしね。つまり、鈴音がいなければここまで丸く収まる結果は得られなかったんだよ」
「そ、そんな」
「それに君が、妖怪たちを受け入れるって表明してくれた。これも大きいだろうね」
月読命はそう言って、こうやって妖怪が集まってくれること自体が珍しいんだよとしみじみ呟く。
「ああ、縄張り意識っていうか、ここにいたいって気持ちが強いから」
「そう」
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