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自分たちの後ろをぞろぞろと妖怪たちが歩いてきている。それはまさに百鬼夜行だ。そんな状態で鬼たちが決戦場と定めた羅城門付近まで行くのだから、そりゃあもうお祭りみたいだ。
ちなみに鈴音は狐たちが担ぐ輿の上、健星はスーツ姿で馬上にある。これだけでも異様だ。
「まっ、これだけ騒いでいたら、大きな戦闘になっても平和的だろうな」
「戦闘なのに平和的って」
言葉として矛盾していないと思ったが
「なるほど。弓矢も刀も要りませぬか」
将門ががっかりとそう呟いた。そう、彼だけ本格的な戦支度をしていた。甲冑を着て弓矢を背負い刀を持っている。しかし、それらが活躍しそうにないと解って悲しいようだ。
「ま、将門さん。守ってね」
鈴音は慌てて他がケンカに回った時によろしくとお願いしておく。すると将門は
「もちろんでございます」
ふむと顔を引き締めた。よかった、取り敢えず機嫌は直ったらしい。
「あっ、あれでございますよ」
そんな話をしていたら、ユキが指差す方向に目の前に煌々と松明を焚く一団が見えていた。するとなぜか健星がホイッスルを構える。
「えっ? 健星」
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