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そう声を掛けると、妖怪も鬼も一斉に駆け出していく。そしてすぐに始まる乱闘だ。ちぎっては投げちぎっては投げ、そんな戦闘があちこちで繰り広げられる。
「ええっと」
「ふむ。予想通り」
これって合ってるのという鈴音の疑問とは違い、やれやれという感じの健星だ。
「なに、不満はこういう祭りで発散させるのが一番だからな。鬼だって、発散できれば黙る」
そしてそんなことを付け加えてくれた。
まったくもう、妖怪ってこういうところが適当よね。
鈴音は今までの緊張感を返せとばかりに溜め息だ。
「が、これだけでは話が終わらん。鈴音、あと一時間したら変化しろ」
しかし王として、九尾狐としてやることがあるぞと言われ、そうなのかと気を引き締め直す。が、はたと気づいた。
「ねえ。変化の練習があったのってもしかして」
「戦になったとしても、九尾狐が最後治めないことには、王座が確定しないだろ」
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