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別にケンカ祭りは当初の予定じゃねえよと、健星は自分まで疑われたのが不快なのか鼻を鳴らす。まあ、そうか。健星って発言がストレートだし、陰謀を巡らすのは嫌いな感じだ。ここまでのことは、まさに成り行きなのだろう。
しかし、最後を治めるのは九尾狐だと健星は考えていたわけか。
「はあ、なんだか複雑」
ここまで流されて、流されまくってやって来たけど、まさか初仕事とされていた戦までこの調子とは。
「そういう運命なんだろ、お前は。いいじゃねえか、王ってのはそのくらいの方がいい」
「健星的にってことよね」
「もちろん」
飛んできた妖怪を拳銃を使ってぶん殴りながら、にやっと笑う健星はやっぱり悪者っぽい。でも、それが一番健星らしい。
「魂を分割してまで冥界に生まれ変わるのも、結局はそういう性分ってことなんだろうなあ」
なんか、深刻に考えて損した。そう思うと心は思いっきり軽くなり
「ユキ、頑張れ~。土蜘蛛さん、右から来てる!」
と、あっさり応援に回れる心境になった。
「だから、お前が凄いって」
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