半妖姫と冥界の玉座

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 名前を知っているのにそう呼ぶってことは、何か意味があるのか。そう思って訊ねると、狐のユキは目をまん丸にした。 「こ、これは失礼を申し上げました。鈴音様はずっとこちらでご生活なされているので、呼ばれ慣れておらぬのでしたな。おひいさまとは、お姫様のことでございます」 「ひ、姫。この私が?」 「はい。鈴音様は間違いなく九尾狐(きゅうびぎつね)御子(みこ)にございます」 「はい?」  次々起こる謎の言葉の数々に、鈴音はもう何なのと本格的に頭を抱えてしまう。そして無言で部屋を突っ切りベッドに潜り込んだ。 「あ、あの」 「寝る」 「はあ」  本当に疲れているだけならば、寝て起きたら狐はいないはず。私が何かの子で姫だって嘘だと解るはず。そう信じて、本気で眠りに就く鈴音だった。  制服のまま寝たせいか、身体を起こした時には身体がバキバキだった。 「肩が痛いなあ。テストは明日もあるのに」  鈴音がそうぼやいて起き上がると 「肩をお揉みしましょうか」  ユキがひょっこりと顔を覗かせた。 「ぎゃあああ。幻覚があっ!?」
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