1パーセントのテレポーテーション

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「失礼、赤津くんを見たらつい懐かしくなってしまって」 「懐かしがるついでに人のハートを抉るのはやめてくれ」 「悪気はなかったの。傷ついたなら謝るわ」  藍川はちょっと申し訳なさそうにする。容姿端麗な女の子がシュンとするとかわいい。必然だ。  ・・・・・・必然故に、明鏡止水(めいきょうしすい)。 「い、いや別に謝って欲しいわけじゃ」  崩れる明鏡止水。溢れ出す煩悩。動揺してしまう。やっぱり藍川は苦手だ。  そんな僕の醜態を目の当たりにして、藍川はくすっと笑う。不思議と嫌味な感じはしない。 「ねえ赤津くん。ちょっと席を外さない?」 「え?」  どういうことでしょうか。 「久しぶりに皆んなと会ったけど、質問責めにされて疲れてしまったの。だからちょっと休憩に付き合って」 「べ、別に、い、いいけど」  どどどどうしよう!? これっていわゆる、「二人で抜け出さない?」的なやつじゃないの? この後二人で夜の街に消えてっちゃうやつじゃないのーー!?  と期待半分・不安半分で僕が連れて行かれたのは、店の外れにある喫煙室だった。ですよねー、知ってた。  それはそれとして、 「煙草吸うんだな」
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