1パーセントのテレポーテーション

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 しょうもない男の話題で盛り上がっていると、喫煙室の外からドッと歓声が上がったのがわずかに耳に入る。きっと須藤さんのフィアンセ探しの件だろう。そういえば霧崎はどうしているのだろうか。怒ったままかな。想像して身震いする。 「全く、低俗(ていぞく)で嫌になるわ。許せない」  唾棄(だき)するように、藍川が言う。 「ごもっとも」 「ねえ、赤津くんは結婚についてどう思う?」  一瞬、随分と変なことを聞くなあと思ったが、須藤さんのことを踏まえた世間話のフリだということに気づいて、なんとか返答を捻り出した。この手の話はあまり得意ではないのだ。 「正直、あまりプラスイメージは無いな。そもそも最近は好きな人ができても一緒になろうなんて人の方が少ないんじゃないか? 結婚したら色々大変なこともあるだろうし」 「そうかしら。どうしても好きな人ができたら、その人と一緒になりたいって思うのは当然なんじゃない? 本当に愛し合っている二人なら、多少の困難は問題にならないと思うわ」
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