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行く行くぅ! と酒が入ってハッピーになった人たちの声。僕は当然帰ります。
幹事に声をかけて、店を出る。本当は霧崎や藍川に挨拶をしたかったのだけれど、僕より先に彼らは帰ってしまったらしい。残念だな。彼らがいなければ、ここはただの地獄ではなく、無間地獄に豹変していたに違いないのだから。
妖しくも燦然とネオン輝く騒がしい夜の街を通り抜けて、駅へと辿り着く。小田急線の改札口にパスモを当ててホームへと足を運ぶ。並び慣れた快速急行の列。目の前にはサラリーマンやちょっと柄の悪いお兄さんが・・・・・・ってあれ?
「霧崎くんと藍川さんじゃないか」
スマホに夢中になっていて気づかなかった。僕は偶然にも二人のいた列に並んでいたらしい。
「おお、赤津」
「赤津くん」
「君らも小田急線だったのか」
「まあ」「ええ」
「しかし、意外なコンビだな」
「そうかしら」
「だって元不良と学年一の秀才が一緒にいるんだぜ」
「藍川さんにはやんちゃしてた頃、色々手続きとかで俺の親父が世話になってな。さっき改札で偶然会ったもんだからちょっと話し相手になってもらってた」
「へえ」
意外な接点だな。
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