1パーセントのテレポーテーション

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「してないんだろ? 霧崎くんに邪魔されたんだ。登戸駅に着いた後は、君が降りたのを見計らって霧崎くんが注意を引きつけている間に、藍川さんは脱出。君が用を足しに行ったという幸運も助けて見事作戦成功ってわけさ。結局君に商店街でこっそり発見されちゃったことを除いてね」  唖然としていた。灯台下暗しとはまさにこの事か。つまり、僕は見事に霧崎と藍川に騙されたという事だ。  だがーー。 「何故、何故だ。僕が何かしたっていうのか? 素直に私達結婚してますって言えばいいだけじゃないか。藍川と霧崎は僕を騙して、勘違いさせて喜んでいたというのか? 僕はちょっと邪さはあったが素直に霧崎を祝福したし、藍川にだって何もしてないぞ! せいぜい同年代の一般論を語っただけだ。多少きつい言葉だったかもしれないが、ここまでされるいわれはないぞ!」  結局テレポートの真相は僕にとって、御此木が宣言した通り屈辱的で、受け入れがたいものだった。  同窓会は霧崎と藍川のお陰で少しは楽しく過ごせた。だが、当の本人たちは孤独で哀れな僕を揶揄っていたに過ぎなかったのだ。
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