1パーセントのテレポーテーション

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「そう、君の考えた通りさ。彼らは、恐らくまだ結婚できていない。それはそうだよね。十分に考えられることだ。社会人の霧崎くんならともかく、藍川さんに至ってはまだ大学生だしね。君の見た指輪もあくまで婚約・・・・・・にもならないような、子供の遊びにも似た契約だろうね。すると当然、彼らの両親はまだそれを知らないということもあり得るわけだ」 「同棲すらもって事か?」 「そこは厳密に言えばかなり曖昧なところではあるけど、まあ藍川さんは大学生だし、友達の家に泊まるとかほかに色々な言い訳をしてやり過ごしてるんだろうね」 「・・・・・・」 「故に彼らの関係はトップシークレットなのさ。もし、何かのミスで藍川さんの両親にでもバレちゃったらどうなるかわかったものじゃないよね」  想像に難くない。藍川の実家は厳粛なエリート家系だ。元ヤンの霧崎など受け入れないだろう。 「複雑だ・・・・・・でも」 「でも?」  御此木の探偵モードはいつのまにか解けていて、いつものニコニコ金髪野郎に戻っている。 「それでも、僕は彼らを応援するよ」 「何だよ。さっきまで騙されたとか言ってた奴の発言とは思えないな」
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