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翌日、約束通り十四時に公園に向かうと、昨日の男が、同じ出立ちで待っていた。
「こんにちは。ありがとうございました」
「どうですか? これで安心して出産に臨めそうですか?」
「はい。もう、なるようにしかならないなって、開き直れましたから」
「ははは。母は強し、ですね」
もう『母』と言われてもプレッシャーは感じず、むしろ心地良いくらいであった。男は、抱っこひもごと赤ちゃんを受け取ると、ポンチョの中に隠した。そして、アタッシュケースを自転車の前カゴに乗せると、そのまま何も言わずに帰っていった。
不思議な男、だったな。それにしても、レンタル彼氏とかは聞いたことがあったけれど、まさか赤ちゃんまでレンタルできる時代になったとは……。
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