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 森と友達になりたいと思うか否か?  その問いの答えは人によるだろうし、正解もないだろう。  なぜなら単なる好みの問題だから。チョコレート・リングは甘いか苦いか? という問いと同じようなもの。  だったら……、正解がないのなら、私はを選ぶ。 「ねえ!」  呼び止めると、彼は立ち止まって振り向いた。  慣れないことをする緊張で、心臓がはやる。口を開く。 「……あんた、LINEとかやってる!?」  森は一瞬きょとんとした後、ふは、と笑って階段を降りてきた。私の目の前で止まる。 「やってますよ」 「なんで笑ってんの……」 「いや、莉世さんがあまりに必死なので何か面白くて」 「別にそこまで必死には言ってな……、わっ」  その時、車道をトラックが通り過ぎて行って突風が起こった。その拍子に、森の目元を隠すように覆っていた前髪が風でめくれた。  綺麗な琥珀(こはく)色の瞳があらわになる。  息を呑むほど美しい造形をした鼻筋に、整った眉に、目元のほくろ……。まごうことなき、美青年だった。思わず見入ってしまうほどには。  ……もしかして、彼がずっと前髪で顔上半分を隠していたのは、この目立つ瞳の色を隠したかったから……?  ほうける私に、森は乱れた前髪を片手で直し、はにかんで言った。 「クォーターなんですよね」 「アリだわ」
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