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ポケットに入れていたスマホの存在を思い出す。誰か助けを呼ぼう、もしかしたらストーカーも私が通話を始めたら逃げ出すかも知れない。
だけど、ポケットの中は空っぽ。押し込んだ手をどれだけ必死に動かしてもスマホを捕まえる事が出来ない。
おかしい、肌身離さず持っている大切なモノなのに。もしかして誰かに盗まれたのかもしれない!! 最近こんな事ばっかりだ。もう嫌、私が何をしたっていうのよ!!
「はぁ、はぁ、」
ドキドキとする心臓を抑えて走り続けると、公園が見えてきた。"さくら公園"といって、春になると綺麗な桜を見る事が出来る公園だ。女手一つで私を育ててくれたお母さんとこの公園でお花見をするのが好きだったな……。
公園に入り、公衆トイレの一番奥の個室へと飛び込む。いそいで鍵をかけ、もう一度ポケットを確認するがやっぱりスマホはない。鞄の中身も確認したがない。ない、ない、ない!
焦りと緊張と恐怖で頭の中がグチャグチャになり、心臓も一際ドキドキと鳴っている。
「どうしようどうしようどうしようどうしよう……」
ぶつぶつと呟いて、この状況をどう乗り越えればいいのか考えていると……カツンカツンとタイルを踏む音が聞こえてきた。
ストーカーがトイレへと入ってきたんだ!
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