雨だれ

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雨のせいか体育館はじっとりした空気につつまれ、雨を避難しに来た人達の休憩所になっていた。 先生が丁寧に私の演奏の紹介をしてくれたが、聞いてくれているのは私の友人ぐらいだった。 別にそれでもいい。 この演奏は先輩への告白。 どうせ言葉で言ってもピアノバカな先輩に伝わらない。 幽霊になってまでもピアノ一筋。 ふふと、笑みが溢れた。 ゆっくりと着席する。 白い鍵盤に指を置く。 深呼吸。 そうして私はざわつく体育館で演奏を始めた。
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