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父親
私は父に怒られたことがなかった。
だから大好きだった。
でも母が病気になってから父が家に帰ってこなくなり大嫌いになった。
当時の私は父は私たちのことが嫌いになったんだと思った。
でも違った。全く違った。
ひとつの仕事じゃ通院代とかが間に合わないからアラスカにまで行って仕事をしていた。
父は私たちのことが大好きだった。
大好きが故に死に物狂いで頑張ってた。
それなのに私は何もわからずただのわがまま娘だった。こんな時期なのに周りが習い事をしてるから自分も「ピアノをならいたい」と駄々を捏ねた。「ピアノが習えないなら家にピアノを買って」と言ったこともある。
何も分かってないのは私だけだった。
今思うとほんとに小さかったとはいえダメダメな娘だった。もっと家族を大切にしていたら…
そんな時母親の手術が決まった。
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