プロローグ

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プロローグ

「忘れないから」 お互いの表情なんて見えないような暗闇だったのに、 澄んだ瞳は真っ直ぐに私を見つめていたことが分かった。 だけど、忘れてしまっていた。 あんなに大切な“誓い”があったことも。 「絶対、忘れないから」 そうだよね、ちゃんと覚えてくれていたんだよね。 たった一夜一度だけだったけど、 簡単に忘れられるような“誓い”じゃなかったよね。 だけど、忘れてしまっていた。 あの夜、 私は仕方なく言われるがまま螺旋階段を駆け下りた。 綺麗な満月の夜だったそうだ。
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