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人間は決して平等ではないと思い知らされたのは、小学生の頃だった。
クラスの中で自分が浮いていると感じるようになったのは、皆の話についていけなくなった頃だ。
休み時間の話題は塾かゲーム。
そのどちらも自分には縁がないものだった。
要するに家が貧乏だったわけだ。
父親はかなり前に他界した。
過労死って奴だ。
生命保険に入っていなかったのが不幸の始まり。
母親はパートを掛け持ちで俺と妹を育ててくれた。
でも、休みなしで働いても収入はたかが知れている。
行政からの補助金は出たが、他人様と同じような暮らしが出来るわけではなかった。
勿論、俺みたいな奴は他にもいた。
貧乏な奴、病気の奴。
ボケたばあちゃんの面倒を見なければいけない奴もいた。
そこらは公立の学校だけあって色とりどりなわけだ。
とはいえ、そういうのはひと握りにも満たないひとつまみ。
大抵の子は受験に向けて塾に通い、食べたいものを買い食いし、疲れた頭を課金アリのオンラインゲームで癒していた。
劣等感に苛まれたまま中学高校と進み、母親からは大学へ行くようにと言われたが、残念ながら国公立へ行くには俺の能力が足りず、私立へ行くには財力が足りなかった。
俺と違い左脳にしわが多そうな妹に夢を託し俺は就職した。
その方が家のためなのは誰でも分かる。
その時はそう思ったんだが....
何故こうなった....
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