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誰の目にもそれは異様に見えたと思う。
まず、2メートル近いと思える身長と体重も150キロは軽く超えていそうな体。
プロレスラーや相撲取りでもこのでかさは....
ボロボロの服もだが、それが血だらけという様子は、トラックにでも跳ねられたのかと思えるくらいだ。
そして問題は、そいつは手にでかい包丁のような刃物を持っていた事と、明らかに目がいってしまっている事。
その明らかに危険な様子に一斉に逃げ出す人々。
でも、中には恐怖の余りその場に立ちすくしてしまう人も何人かいる。
男が近づく。
小学生の我が子を抱きしめ庇うように男に背を向ける母親....
「あ!」
「思い出しましたか?」
思い出した....
俺....死んだんだ。
「あなたが庇った親子は助かりました」
「そっか....あいつは?」
「あなたと相討ちという形で肉体は完全に活動を停止いたしました」
相討ちっていうか、俺の肩口から斬ったら勢い良すぎて自分の腹に刺さったように見えたぞ。
人生最後に見たのがアレだもんな。
....ん?
「肉体は?」
「はい、精神生命体は逃走いたしました」
は?
「えーと、何言ってんのか分からない」
「ですよねー」
何かムカつく。
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