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第1話 出会い
20XX年、春。
澄んだ青空から溢れる眩しい陽の光が、小さく咲いた桜の花びらを照らしている。
言葉通り「麗らか」な4月の日に、東京都内にある有名私立中学の入学式が行われていた。
新入生450名。
偏差値約70と言われているこの学校に入学を許されたのは、険しい受験戦争を制した者たち。
もしくは小学生の時点で全国区で活躍しているスポーツ選手。
そして中には、大物政治家やかつての財閥のような家柄出身のものもいる。
こんな華やかな世界で思春期を過ごす生徒たちは、一体どんな学校生活をしているのだろう。
その実態について詳しく触れることはできない。
が、彼らも年齢でいうと中学生。
実に多感な時期であり、多くの出会いから多くのことを学んでいく年頃でもある。
多様化する人間関係の中で自分のアイデンティティを探し、集団と個のバランスの難しさに悩み、自らの気持ちと向き合っていく。
それは、普通の中学生とは全く変わらない。
殊恋愛に関しては、彼らも無知で不器用で仕方がない10代初期の人間なのである。
この作品は、そんな舞台でそんな彼らが繰り広げる、ちょっとダークで甘くて酸っぱい恋の物語。
恋をすると、人は同じ……。
いつの時代もどこの国でもそれは通じるものなのだから、同じ国の同じ年の者同士であれば、余計に共通項が多くなる。
「恋愛っていいな」
彼らの恋模様を見てしまえば、ついそう思わずにはいられないだろう。
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