庭の奥には

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庭の奥には

広い庭は中央に傾斜があり、手前と奥で高さが違う。 手前には一面芝生を植えて縄跳びやバスケが出来るように整えてある。 奥は母親の趣味である木花が植えてあり、一角には畑を作って数種類の野菜を植えている。 手前の芝生の庭では子供の頃よく一人で遊んでいた。 友達が居ないわけではなかったが、やはり一人で遊ぶほうが気楽であり、何かと遊び道具を見つけては一人で遊んでいた。 あの頃は何だかんだ言って責任も何もなくて楽しかったなと当時の情景を思い出していると、ふと子供の頃に不思議な植物を見つけたことを思い出した。 庭のどこかに、確か真っ黒い双葉の植物が芽を出していた。 黒い見た目をしていながら枯れている風ではなく、生きていると伝わってくるような、不思議な植物だった。 植物に詳しいわけではないが、私の乏しい知識の中で真っ黒い植物など見たことも聞いたこともなく、後で母親に聞いてみようと思ってそのまま忘れてしまっていた。 そんな十何年も前のことを、何故今ふと思い出したのか分からないが、何となくその存在が気になり、私は久しぶりに庭に出てみた。
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