プロローグ

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水漏れ  〇県〇市 深山工務店内 近道 保志  ジーン……。リーン……。ジーン。リーン……。  真夏の騒音で耳から頭まで痛かった。  こりゃなんだ。虫と電話のベルと、後なんだ?  座っているだけなのに。  ただ座っているだけなのに。  一番うるさい電話の音から消してやる。 「はい。深山工務店です」 「あのー、水漏れが酷くて……」 「ええと、うちは水漏れの修理とかはしてないんですが?」 「住所は……」 「はいはい。わかりましたよ。もう一度、住所を……」  ベニヤ板の壁に立て掛けてある靴を履いて、真夏の外へと出た。外の暑さは工務店の中よりも暑い。 「太陽はいつもカチカチに燃えてるってか?!」  そう文句を言い放ちドアを開けて、さっき聞いた住所へとバンを走らせた。バンの中には工具が入っている。  恐らく水漏れなんてすぐに直るだろう。   
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