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小さな“私”と小さな“彼”が、公園のベンチに腰掛けていた。
私の名前は、倉本愛心(クラモト アイコ)。
彼の名前は、子森 智空(コモリ チアキ)。
幼稚園児な私たちは、小さい手をつないで、夕焼け色の空を見ていた。
「あおとあかならどっちがすき?」
私は智空に問う。
「おれはあおだな! だってあおはカッコいいんだぜ」
にひひ、と歯を見せて、小さな智空は自慢げに言う。
「あいはあかだなぁ~。あかはほのおのいろだから、かっこいいよ」
にんまりと笑った、小さな私。
「あ、みてみて! 風船だあ!」
智空が隣のベンチに引っ掛かった赤い風船を指差す。
私ははしゃいで風船のもとへ走る。智空も私の後を追う。
「ねえちあき、あいね、おっきくなったらちあきと『かれかの』になりたい!!」
それは突然の私からの願望だった。
小さい頃は、根拠も自信もなくこういった約束をしがちである。
ただ、相手が好きだから。それが“こい”なのか“ゆうじょう”なのかは、小さな子にはわからない。
ただ、一緒にいたいだけ。仲のいい父と母への憧れなのだろうか。
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