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「さっき香澄先輩と一緒に帰ってた」
「はぁぁ!? なんでなんでぇっ! 今日部活でしょ? サボリ?」
「こころにだけはサボリとか言われたくないと思う」
呆れ顔の京ちゃんは、いいから早くしろと付け加えて、会話に応じる態度を遮断した。
美術部は週に二回、火・木の活動があって、月・水・金は自主練という形を取っている。
私は気分が乗ったときじゃないと出ないから、幽霊部員……なんですっごめんなさい。
ちなみに今日は木曜日だから、れっきとした活動日! ……なんだけどなぁ。
「よし、準備完了!」
「はいはい」
机に腰掛けていた京ちゃんが立ち上がり、私の隣に立つ。
160㎝の私の身長と、180㎝の京ちゃんの身長だと、私がやたらと小さいように感じる。
京ちゃんは中学の時はサッカー部部長で、今でも適度に鍛えているらしい体は、引き締まっている。
友達視点から見てもかっこいいとは思うけど、京ちゃんは私にとってお兄ちゃんみたいな存在だから。
「よぉお二人さん! 今日も二人で一緒に帰るのか、ラブラブだねぇ」
廊下を並んで歩いていると、京ちゃんの友達から冷やかし。
こんなことはたまにあることで、だけどここでまともに受けちゃだめ。
「えっへへ~、だって京ちゃん、私たち仲良く見えるって~」
そう言って、私はぎゅっと京ちゃんの腕に自分の腕を絡める。
「そうだな」
棒読みな声が痛い。かけらもノッてくれない京ちゃんに、私はあっさり京ちゃんから離れる。
本当にお兄ちゃんみたいな存在だから、正直こうやってくっつくのは慣れてる。
そのからかいがいのなさに、京ちゃんの友達Aは諦めたように手を振っていた。
私と京ちゃんが出会ったのは中学校からで、智空が幼稚園、で、実玲が高校。
普段はこの四人で一緒にいることが多い。学校ではまぁ、女と男で別れてることがほとんどなんだけど。
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