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4月17日
先程、坊ちゃまのお部屋にハーブティーをお持ちした。
ノックをしてもお返事がなく、心配で声を掛けると、やっと応えて頂けた。
坊ちゃまの顔を見て、彼が部屋で1人泣いていたのだと理解する。
立て続けにメイコさんやソウスケさんのことがあったのだから、無理もない。
旦那様や奥様と同様、坊ちゃまもロボットを大切にしてくださる優しいお方だ。
泣いた顔を見られるのが恥ずかしいようだったので、お茶を置いてすぐにお部屋から立ち去ろうとしたのだが、坊ちゃまに引き止められ、驚いてしまった。
それから私達は、何日かぶりに2人で会話をした。
坊ちゃまの小さな頃の話、私が作った煮込みハンバーグの話、桜の押し花の話。
もっと色々お話したのだけれど、あまり覚えていない。だって、そのあと
私は本当にどうしてしまったのだろう。どうして坊ちゃまはあんなことをしたのだろう。
坊ちゃまの小さな頃にも、同じ様なことはあったのに。その時は、こんな風に混乱することもなかったのに。
どうしてこんな挙動をしてしまうのだろう。私が壊れているから?
このまま私は、今日のことも忘れてしまうのだろうか。
だとしたらせめて、その時は自分で選びたい。
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