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「ユメ。僕は君が好きだ。1人の女の子として、好きなんだ」
──あぁ、やっぱりそうなんだ。
坊ちゃまの言葉で、今はっきりと理解した。
私は彼に恋をしているんだ。
旦那様の言う通りだった。
だってこんなにも嬉しくて仕方ない。だけど同時に悲しくてたまらない。
本当は今すぐ「私もです」と叫びたいのに。
「坊ちゃま、私はただの機械ですよ」
「僕にとってはそうじゃない」
「しかし…」
「君の気持ちを聞かせてくれ」
私は何と返したら良いのだろう。
私以外に機械のないこの部屋は、やけに静かで、回路の音が頭に響く。
本当の気持ちを伝えても、この先、彼は辛い思いをするだけだ。
だけど、嘘をつくなんて──
私はただ、彼に幸せになってほしいだけなのに。
──どのくらいの時間が経っただろう。
考えに考えて、私はやっと1つの答えを思いついた。
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