ユメノ日記帳

16/16

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
4月20日 私は明日からスリープモードに入る。次に目覚めるのは、いつになるかわからない。 アスターの花を見られないのは少し残念だが、旦那様と坊ちゃまが2人で育ててくださるそうだ。 「これから毎年種を蒔くよ」と坊ちゃまが仰っていたので、きっと私が目を覚ました後に、ピンクの綺麗な花を見ることができるだろう。 旦那様の言う通り、坊ちゃまへ芽生えた私のこの感情は、恋心だった。 坊ちゃまが将来お医者様になって、私を直してくださった時にお教えします。 これ以上、記憶回路の劣化が進まないように、それまで私は眠ります。 昨日私が言った、坊ちゃまへのお返事。 我ながらはっきりしない、ずるい言葉だと思う。 でもきっとこれで良かったのだ。 これから先、坊ちゃまが他の誰かを好きになったとしても、私のことを気にせず幸せになれますように。 だけど、もしも叶うのなら。 大人になった坊ちゃまに、「貴方が好きです」と伝えられる未来を夢見ても良いのだろうか。 そんな甘い夢を見ながら、明日私は長い眠りにつく。 旦那様へ もしもこのノートを見つけたら、どうかこのまま旦那様の本棚へ置いて頂けませんか。 この場所なら坊ちゃまの目につくことはないでしょうから。 勝手に本棚へ入れてしまい、申し訳ございません。 ユメ
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加