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4月20日
私は明日からスリープモードに入る。次に目覚めるのは、いつになるかわからない。
アスターの花を見られないのは少し残念だが、旦那様と坊ちゃまが2人で育ててくださるそうだ。
「これから毎年種を蒔くよ」と坊ちゃまが仰っていたので、きっと私が目を覚ました後に、ピンクの綺麗な花を見ることができるだろう。
旦那様の言う通り、坊ちゃまへ芽生えた私のこの感情は、恋心だった。
坊ちゃまが将来お医者様になって、私を直してくださった時にお教えします。
これ以上、記憶回路の劣化が進まないように、それまで私は眠ります。
昨日私が言った、坊ちゃまへのお返事。
我ながらはっきりしない、ずるい言葉だと思う。
でもきっとこれで良かったのだ。
これから先、坊ちゃまが他の誰かを好きになったとしても、私のことを気にせず幸せになれますように。
だけど、もしも叶うのなら。
大人になった坊ちゃまに、「貴方が好きです」と伝えられる未来を夢見ても良いのだろうか。
そんな甘い夢を見ながら、明日私は長い眠りにつく。
旦那様へ
もしもこのノートを見つけたら、どうかこのまま旦那様の本棚へ置いて頂けませんか。
この場所なら坊ちゃまの目につくことはないでしょうから。
勝手に本棚へ入れてしまい、申し訳ございません。 ユメ
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