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4月10日
今日はメイコさんが修理から戻ってきた。
わかってはいたけれど「はじめまして」なんて言われると、思わず寂しくなってしまう。
教育係のソウスケさんは1日中メイコさんに付きっきりで、とても忙しそうだった。
奥様はすっかり元気をなくしてしまったご様子。
お食事にもほとんど手を付けられていなかったが、デザートに出したあんみつ(奥様好みのつぶあんのもの)は完食して頂けた。少しでも元気を取り戻して頂きたいと、急遽メニューを変更して作った甲斐があった。
しかし、「ありがとう」と無理して笑顔を作る奥様を見ていると、心苦しくなってくる。
奥様が旦那様のもとへ嫁いで来た際、唯一連れてきたロボットがメイコさんだった。もうずっと前から奥様に仕えていると聞いたことがある。
名前がついたのはこの屋敷に来てからだが(例のごとく旦那様が名付けた)、相当大事にされていたらしい。
そして思い上がりでもなんでもなく、私も、旦那様や奥様、坊ちゃまに大切に扱って頂いていると日々感じている。
もしも私がメイコさんの様に、記憶回路をリセット、もしくは取り替えた時、坊ちゃま達はどんな反応をされるのだろうか。
きっと、そう遠くない未来に私も彼女と同じ様になる。
むしろ私の方が先にこうなっていてもおかしくはなかったはずだ。
どうして旦那様は私の不具合をこのまま放置しているのだろう。
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