ユメノ日記帳

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4月14日 日記を書くのを忘れてしまっていた。 旦那様から「あのノートは使っているのかい」と聞かれ、この日記の存在を思い出す。 日記を読み返し、押し花のことも思い出した。 坊ちゃまから頂いた桜の花。新聞紙を取り替えるのも忘れてしまっていたため、綺麗な薄ピンク色だった花びらは、茶色く変色してしまった。 あんなに楽しみにしていたはずなのに、すっかり忘れてしまうなんて。 奥様にこのことを話すと、画用紙に押し花を丁寧に貼り付け、写真立てへ入れてくださった(紙と写真立ては奥様が物置から見つけたもの)。 「これを枕元に置いておけば、寝る時も起きてからも思い出せるわよ」と、私の髪を優しく撫でてくださり、落ち込んでいた感情が少し楽になる。 画用紙の右隅には、坊ちゃまと私の名前を書いてくださった。これできっと忘れることはないだろう。もう、忘れたくない。 日記に書いていない大切な記憶は、すでに忘れてしまっているのかもしれないけれど。 それと最近、坊ちゃまの様子がなんだかおかしい。 恐らくメイコさんが戻ってきた、あの日から。 部屋に1人でいることも増え、私に話しかけてくださる回数もぐっと減った。 押し花を奥様と一緒に見せに行った際も、はじめは笑顔を見せてくれたが、すぐにどこか悲しげな表情に変わってしまった。奥様は「あまり気にしないで」なんて仰っていたけれど…。 私は、何か坊ちゃまの機嫌を損ねるようなことをしてしまったのだろうか。
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