しがない男爵家

2/4
381人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
 当然、学校の成績が良いはずもなく成績は中の下といったところだったし、今でもかろうじてつながりのある数名の友人以外との交友関係を広げる時間も気力もなかった。  そんなわたしは、学校でも目立たない存在で、きっともうほとんどのクラスメイトがわたしの名前はおろか顔すら憶えていないだろう。  卒業を迎えた時は、やっとこの忙しい生活から解放されて薬草栽培に専念できる!と心底ほっとしたのを覚えている。  就職はしなかった。  お嫁に行くあてもない。  ラミがあれこれ指南してくれたおかげで立派なハーブや希少価値の高い薬草を栽培できるようになり、そこそこ稼げるようになっていたためだ。  わたしの高等学校卒業から二年が過ぎた今年、やっと双子の弟たちが初等学校へ通い始め、母と二人で薬草栽培ができるようになった。  弟たちも貴族用の学校に入学したため、当然学費の負担が家計を圧迫し始めた。  貴族学校入学のためにせっせと貯金はしてきたけれど、これから先、常に二人分の学費がかかると思うとお金がいくらあっても足りない状態だ。  そのため、さらなる事業拡大を目指して畑を借りた。  そこそこの広さがあるため、ハーブや薬草のほかに野菜も育てている。  定番のハーブだけでなく、育てるのが難しいとされる薬草の栽培にもどんどん挑戦してみたい!  いずれは自分で育てた薬草を使って薬を作ってみたい!  そんな夢を抱いてワクワクしながら、早朝から夕方まで畑仕事に精を出す日々だ。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!