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衝立から顔をのぞかせたテリーが
「平たく言えば、一目惚れでございます」
とフォローしてくれなければ意味がさっぱりわからなかっただろう。
いや、フォローしてもらっても「マチコ巻きにズキュン」は意味不明のままだけれど。
「単刀直入に申し上げますと、我が家には男子が二人おりますので後継者には困っていません。婿入り先を探してらっしゃるのでしょう?我が家は身分の高いお方を受け入れるような家柄ではございません」
「どうしても婿入りしたいわけではないんだ。最悪、独身のまま新たな爵位をもらって離脱する方法もある」
じゃあ、そうしてくださいませ。
それが思いっきり顔に出ていたらしい。
シリアン様が頬を若干赤く染めて、はにかむように言った。
「わがままを言っていることは重々承知しているけど、恋愛結婚というものをしてみたいんだ」
「じゃあ、爵位をもらって独立してから恋愛結婚すればいいでしょう?」
この見た目の麗しい王子様の何がネックになって皆さんが敬遠しているかって言うと、王妃様に目を付けられて疎まれているため大っぴらに味方をしてあげられないということがひとつ。
もうひとつは、不運な出来事により何度か命を落としかけているという点だ。
「うん、それももちろん視野に入れていたんだけど、その前にきみに出会ってしまったんだよ。もしも私の今の肩書に抵抗があるのなら、今日帰ってすぐに離脱と叙爵の手続きに取り掛かってもいいんだけど、多分とても時間がかかると思う。それまで待てるなら、その間は婚約者として恋愛しようか。それもいいね♡」
いやいや、待ってください!
わたしがもうOKを出しているかのような展開になっていませんか!?
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