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運命の決勝戦
12月19日、午前0時。
カタールワールドカップの決勝戦、オランダvsベルギーの試合が幕を開けた。奇しくも、隣国同士の対戦となったのだ。
俺と那津は、狭いワンルームで二人ともテレビに釘付けになった。暖房はガンガンにつけているので寒さは感じない。
「なあ那津。オランダ、今回マジで強いな。延長戦もなしの無敗だろ?優勝すんじゃねえか?」
俺がヒヤヒヤしながら聞くと、彼女は頷いて答えた。
「自分でもビックリしてる。正直、ここまで来れると思ってなかった。だけどね、オランダは過去に準優勝3回、3位1回、4位1回とベスト4以上を5回も経験しているの。一方ベルギーは、前回の3位が最高でしょ?そう考えると……」
「おいおい、嫌な言い方するなよ。ベルギーだって同じく無敗だ、きっとすごくいい勝負だよ。どっちが勝っても初優勝だしな」
「うん、そうだね。どっちも頑張れ!」
試合は着々と進行していく。お互い守りが強く、シュートを放つシーンが少ない。放っても、ゴールキーパーはしっかりと止める。さすがは決勝戦、見応えのある試合だ。
そして90分が経過したが、0-0のまま引き分けで延長戦に突入。120分でも両者1点も入れれず、ついにPK戦に持ち越された。
俺は2006年のドイツ大会からワールドカップをずっと見てきたが、決勝でPK戦まで決着がつかないのは、ドイツ大会のイタリアvsフランス以来、16年ぶりだ。
PK戦3回目にオランダが先制。ベルギーは外してしまった。まずい。
4回目は両者得点できず。次で先攻のオランダが入れれば、自動的にオランダの優勝が決まる。
止めてくれ、ベルギー!
俺は心の中で祈った。
「決まった〜!!激闘の末PK戦を2-0で制し、オランダが悲願の初優勝です!!」
解説者の大声が、俺の耳に響き渡る。
終わった。
これで俺は那津と……。
俺は隣の那津の目を見て、はっきりと告げた。
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