青紫のしるべ

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 9月22日。父の一回忌の日にも、青紫色の花はまだ店先にあった。  私は鉢植えを買った。父のためなのか、自分のためなのか、他の誰かのためなのか、もしくは誰のためでもないのか、よくわからないままに買っていた。  11月に入った頃には花は落ちていた。丈夫な花だから、きっと来年も咲くよと母が教えてくれた。私は葉だけになった鉢植えをベランダに出した。  その後、先生とは何事もないままに、私は高校生活の終わりを迎えていた。  卒業後は寮付きの職場で働くことになっていたから、春休み中にアパートを出た。
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