11人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうそう。それに、三田くんは社長係だから安心して」
いつからそんな係が出きたと言うのだ。経理担当の柴田が、ハウスメーカーから転職して来た上原と家が不動産屋だという松井を慰めるように言った。
「柴田さんも木下さんも、頼みますよ」
「はーい」
「木下さん、車二台で行くとなれば、一台はレンタカー借りますか?」
「そうだな。俺のワゴンは梯子やら工具やら詰め込んであるしな」
ここ結城デザインは社長と専務の他、社員は五名と少数精鋭の店舗設計を主に請け負っているデザイン事務所だ。
「木下さん、工事工程表を見る限り前日まで仕事が目一杯ですよね」
壁に貼ってある予定表を確認すると、旅行予定日付近は皆、それなりに忙しい。
「俺は電車で行くよ」
木下がどう詰めてもやはり朝は現場に入らないといけないと言う。
「あの。俺、車出せますよ」
「松井君、車持ってたんだ。いつも現場には電車で来るからてっきり無いんだと思ってた」
上原は松井とコンビになる事が多い。
「上原さんは、松井君と合流した方が良さそうだね」
住所の一覧表を見て言うと、松井は少し嬉しそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!