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「僕が社長と柴田さんをどこかでピックアップして、現地集合がいいかな」
「あの、出来ればどこかのサービスエリアで合流して欲しいんですけど」
上原はちらりと松井を見る。松井はその視線に少し傷ついたような笑みを浮かべた。
「そうね。二人きりだと緊張するわよね」
柴田がオブラートを破り捨てて言い放った。
「えっ、いや、その」
「そうだよね。俺と二人きりなんて……」
行く前から不穏な空気が流れた。
「折角の社員旅行ですから、合流してお昼を皆で食べる事にしましょう」
「三田さん、それが良いと思います」
松井が取り繕うように言った。
「後で社員旅行の日程表を配ります」
「三田君、色々悪いねえ」
「全然、そう思ってないでしょう」
木下は豪快に笑って、夜間工事の準備の為に自宅へ帰って行った。
「柴田さん、あの二人仲悪いんですか?」
「ええ? でも二人でよく話してるし、ふられた仕事を手分けしてやってたりするし、仲悪くはないんじゃない?」
「ですよねえ」
上原と松井はテーブルに残り、図面を広げながら仕事の段取りをしていた。
「大丈夫じゃない?」
「そうですね」
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