回る社長、社員旅行へ行く

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 そうは答えたものの、完全に不安は拭えなかった。  金曜日の早朝、三田は社長を助手席に乗せ車を走らせていた。 「結局、花見は出来なかったな」 「ええ。でも、社員旅行は予定通り開催出来たので良しとしましょう。あっ! 叫ばないでくださいよ。あと、トイレは早めにお知らせください」  社長は開けた窓を渋々閉めた。 「うぬぬ」 「もうすぐ皆さんと合流ですから」  結局、柴田は上原に懇願されて松井が運転する車に同乗しているらしい。 「今日は甲州牛で地酒をたらふく飲むぞ!」  「だから、突然叫ぶのはやめて下さいって言ってるでしょう」 「窓、閉めてるぞ」 「そう言う意味では!」  小競り合いしている内にサービスエリアに到着した。社長はさっさと車を降り、トイレにのしのしと歩いて行った。食堂へ行くと、上原と松井が人数分の席を確保していて、こちらに気づいて手を振った。 「三田さん、お疲れ様です」 「上原さん、松井君も運転お疲れ様。柴田さんは?」 「今、トイレに」 「そう。二人は注文した?」 「いえ、全員が揃ってからと」 「律儀に待ってたら、全員ラーメンにされるよ」 「えっ」
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