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「あの、専務は来ないんですか?」
「上原さん達は専務に会ったこと無かったか」
「はい。面接の日に確か来るとか来ないとかで、結局会えませんでした」
「専務は旅行嫌いだからね。今日は会社で留守番してるんじゃないかな。その内、会社で会えるよ」
「はあ」
「少し混んできたな」
社長がラーメンのスープを飲み干すのを見て、上原と松井は残りのご飯を慌ててかきこんだ。
「ごちそうさまでした」
また二台に分かれて山梨のペンションへ向かう。途中、コンビニでトイレ休憩をするついでに、お菓子や花火等を沢山買い込み、社長に子供かと笑われた。そんな社長はペンションに着くギリギリまでソフトクリームを食べていた。
「社長が一番子供じゃないですか」
「ん?」
「いえ。まもなく到着ですよ」
「おっ」
コーンの欠片がボロボロと落ちて、おろしたてだというスニーカーがコーンまみれになった。鳥が寄ってきそうだなと、自分の子供じみた妄想に笑いを堪えた。
「ちょっと挨拶に行ってくるぞ」
社長はそう言って、コーンを撒き散らしながら管理事務所に向かって行った。雀が目ざとく降りて来て啄んでいる。
「三田さん、泊まるのはここですよね?」
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