小さな冒険譚

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真夜中。九時が本来の寝る時間なんだけど、そおっとバレないように、ゲームや本を持ち込んで、私が寝たと思い込んでる10時くらいに始める。こういう日が何度もあったんだ。 理由それは、ただゲームや本を読む時間が足りないってのも無くはなかったと思う。でも一番は、主人公の冒険をと親にバレないかの恐怖と重ねてより楽しむためだった。ゲームならローグライクやRPGで何度も全滅して、何度も、何度も。次の敵はなんだろ?ってのと、夜だからこその音の静けさと、布団にこもることで光がゲームの光くらいになる。だからこそ少しの母や父の物音。それが不安になるんだ。なんの音だかわかんないからね。その不安が、冒険して、失敗してもう一回!ってなる感じを引き立ててくれた。感情移入しやすくしてくれるんだ。いつの間にか自分のおかれてる状況と混じってくれて。主人公のドキドキが、こっちにも似た状況だからこそ伝わってくれる。 本もおんなじだね。主人公が大きな困難に立ち向かうシーンや、魔法や剣を使って戦うシーン。誰かをかばうシーン。謎解きパートも同じかな。どれも主人公もきっと心臓が高鳴ってドキドキと音を立ててるシーンだから。より感情移入出来るようにこちらもドキドキするタイミングで読みたい。 それが真夜中怒られないように隠れて、和室に差し込む、親の起きてるからこそつくリビングの光を利用して。リビングの光が付いてるってことは=母や父が起きてて怒られるかもしれないってことにもなる。だから怒られるかもっていうことを少し頭によぎると心臓がバクバクする。それは読んでる本の主人公と同じ。小さな冒険のようだった。
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